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国立大学に対する文部科学大臣の「国旗国歌に関する要請」の撤回を求めます |
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掲載日:2015/8/3 |
1999年の国旗国歌法制定以来、「強制するものではない」との官房長官(当時)の国会答弁にもかかわらず、小中学校および高校では入学式や卒業式での国旗掲揚と国歌斉唱が強制されています。そして、「日の丸」「君が代」が先の侵略戦争で果たした役割への痛切な反省や、思想・信仰の自由を守るためなど、さまざまな思いでそれを拒否した多くの教師が処分を受けてきました。 |
国に対する考え方は、現実の国のありようや歴史を学習しながら、子ども自身の中で長い時間をかけて形成されるものです。そのような子どもの自主的な判断を育てることこそが教育です。入学式や卒業式などの儀式において、目に見える形での態度表明を子どもと教師に求め、従わない者を処分することは、思想・信仰の自由を侵すばかりではなく、教育の場になじまない、暴力的な行為にほかなりません。
文部科学大臣が国立大学に対して入学式・卒業式での国旗掲揚と国歌斉唱をあえて要請したことは、「道徳」を「特別の教科」として評価も求めるなど、「戦後レジームからの脱却」を唱え国民の心を支配しようとする現政権の政策の一環であると言わざるをえません。
そもそも大学は国民の意識を方向づけるための政府の下請け機関ではありません。従わない場合に不利な結果が予測される「要請」は、強制以外の何ものでもなく、断じて許されるものではありません。
大学は人類の普遍的な知を探究する場として、広く国民に開かれた「公的な」存在です。それゆえ国家権力からの独立を保ち、構成員の自主的な判断で運営される必要があります。それを支えることこそが、国家の役割です。それにもかかわらず、国歌・国旗を大学に強制することは、何よりもまず大学の自治と学問の自由の根幹をおびやかすものにほかなりません。と同時に、それは日本国憲法に保障された個人の思想・信仰の自由を侵すものです。
国旗国歌の問題は、日本の戦争責任の問題と分かちがたく結びついていることも忘れてはなりません。それを曖昧にしたままで、戦後70年のこの年に国立大学に国旗国歌に関する強制をするべきではありません。平和と民主主義を大切にする立場から、文部科学大臣の要請の撤回を、強く求めます。
2015年7月27日
民主教育研究所
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